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Street Theater Troupe 釜山・演戯団コリペ「Floor in Attick−屋根裏の床を掻き毟る男たち−」――宋 莉淑
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    演劇は映画や音楽とは全く違った魅力がある。ひと言でいえば、美しいだけではなく、汚い。それは人間がその場で息をし、セリフを話し、動くのだから生々しく、当然、きれいなことだけでは済まされないのである。

    とりわけ、「Floor in Attick−屋根裏の床を掻き毟る男たち−」は汚い。舞台は2坪とない狭くて古くて汚い部屋。そこに顔が垢で黒くなった男4人が暮らしている。彼らは社会に背を向けて反抗的に生き、自らを鍋にべったりと張り付く「おこげ人間」と呼んでいる。寝転んだ姿のままでラジオ体操をし、体は新聞で拭き、下着は3年に一度しか着替えない。携帯電話もないので、ジャージャー麺の出前を手紙で頼む。日がな一日、他愛もない屁理屈をこね、食べ物や着る物を奪い合い、頭の寸法で大将を決めて過ごしている。窓から見下ろす道路には白いワイシャツにスーツを着て出勤急ぐサラリーマンやジョギングに白い息吐く市民たちが見える。彼らは皆、息も顔も白い。怖いからと、外の世界に出るのを拒む男たちは隔絶された世界で生きている。そこへ娼婦や女神や出前配達人など外部の者たちが男たちの家へ侵入してくる―。

    彼らはお金もないのに、心は実に豊かである。それは何もないことが安全だといい、安全を求めて、自らが望んでこういった暮らしをしているからだろう。あるいは望まずとも決して悲観して生きているわけではないからかもしれない。そして、腹を空かしているわりによくしゃべる。新聞紙で体を拭くことが肌に良く、石鹸ではダメだ説き、鍋とスプーンを持ちながら、自分よりご飯を美味しく食べるヤツがいたら出て来いと大声で叫ぶ。そこには喜怒哀楽といった感情が詰まっている。

      また、決して広いとはいえない小劇場の舞台で次々と驚くような舞台のしかけが用意され、観ている者を惹きつける演出。そして軽妙だが、味わい深いセリフ、喜怒哀楽の感情表現など小さな空間いっぱいに広がるドラマがここにある。その舞台空間にはあまりにもエネルギーに満ちあふれていて、観ている者が脱力してしまうほど、そこにはしっかりと人間の生を感じることができた。本作はアウトサイダーから見た現実社会を辛辣に描きながらも、人間の生を謳う人間賛歌である。

    印象的だったのは終演後のできごと。舞台上であれほどいきいきとした瞳で輝いていた役者たちがカーテンコールで姿を現わした時の役者陣の静けさには、ただただ驚くばかり。舞台上での演技者としての姿と役者たちの素の部分のギャップ(ある意味、劇的空間)にニヤリと笑いながら、「これだから演劇はやめられないんだよね」とうなずくばかりであった。(文筆家/宋莉淑)

    | 劇評 | 18:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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