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☆Alice's Review☆

  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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快楽のまばたき「火蝶於七」__森 薫
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     タイトルが「火蝶於七」だし、以前、作・演の高田百合さんに円乗寺にお墓参りしてから書き始めたと聞いたことがあるので、てっきり、歌舞伎の八百屋お七が――その通りだろうと作者の目を通して変容してだろうと――描かれるものとばかり思っていた。 現代の若い世代の目に、お七はどんなふうに映るか興味津々だった。

     しかし残念、舞台に八百屋お七はいなかった。幕開けの導入で、男を知らぬお七と、男の子かと思われていたが実は女の子、父に狃辰眇祐屬眛韻犬世隼廚┃甅狎こΔ鯤僂┐蹲瓩噺世錣貘海韻觴里道劼離淵覆函対照的な2人が実は不幸なひとりの人間の裏表、ということを書こうとしたのかな??とも思ったが、でもないようだった。そこに焦点は絞られていかなかった。

     お七は安女郎宿で暮らす、いわば居候。おまけに捨て猫や犬や捨て子(ナナ)を見ると拾ってくる厄介者という設定だった。売り物にならぬそのお七の犁す瓩里劼箸海箸しかし、なぜか、日常の些事に罪を感じている客たちを癒し、それが評判となってお七の前に長蛇の列ができるようになり、やがてお七は、気絶した猫を助けた縁で吉三郎と出会い、お七を嫁にしようと言うお代官を振って吉三郎に恋焦がれ……と、いやにストーリー的に進んでいった。

     終わりのほう、筋を急いで思いがただ台詞に籠められたせいか、赤い照明だからお七は火刑になったらしいと推察はできたけれど、歌舞伎の「八百屋お七」が火事で吉三郎に会えたので、もう一度会いたいと江戸に火を点け木戸開く半鐘を叩いたのとちがって、「火蝶於七」は何故マッチを擦ったんだっけ?よく呑みこめぬうちに終っていってしまった。途中、おそらく良き市民の家に入れてもらえなかった「マッチ売りの少女」と捨て猫とを重ねたかったのであろう、マッチを売る少女が出てきて吉三郎に、猫の代わりをしてあげようと申し出る台詞もあったようだが、少女も捨て猫ならもっと前から出して、お七とナナと少女の関係を示しおいて欲しかった。これに限らず、あまりに多くのものを詰め込みすぎたと言えよう。

     しかし、こうした短所にも関わらず、他にない感性にぶつかることができて、私には非常に面白かった。それは、女郎屋にずらっと並ぶ着物姿の町民たちが豚や狐や虎や鹿などなどのマスクを頭から被り、すべて動物だったこと。女たちも眼が見えない、耳がきこえない、口がきけない、もう少し正確に言うと、見えても見えない聞こえても聞こえない話せても話せないを売りにする、いわば人間失格ばかりだったこと、である。こういう思いがけない設定は、現代シホンシュギシャカイで売り買いする人々を人間とは見ない、作者の目があるからに違いない。代官にむかってお七が「あなたは苦労もせずに金を持ちすぎた/これは、罪に値します」「あなたがおいしいものを食べたとき、だれかのごはんがひとりぶん減る」などと言ったのも、それを裏づけよう。

     シーンとして一番面白かったのは、もう商品価値を喪った古手の女郎(高田百合絵)が、見えない聞こえない話せないで売っている女郎(杉村あや、橘あんり、千葉里美、鎌田佳奈子)たちと奥から客席に向かってダアッと押し寄せてきたところ。全員捨て身の迫力に圧倒された。。

     あとで「幕間狂言」という位置づけだったと分かったが、古手女郎はCATSの「メモリー」を歌ってもいたから、お七もナナも少女も古女郎も全部捨て猫だったという設定で、作品をもう一度冒頭から整理してみたらもっと面白くなるかも?と思った。「CATS」はもちろん、井上ひさしの「十一匹のネコ」や、近くは榴華殿川松理有の「のら猫たちは麗しの島をめざす」など、捨て猫を描いた作品が珍しいわけではないが、金儲けがすべてのこの社会を変えたい、焼き払ってやりたいと見る目はそれらになかったと思うからだ。その中での愛と孤独が見るもののこととして伝わってきたら、それこそ文句なしである。(2010.10,24所見)

    | 劇評 | 18:27 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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