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☆Alice's Review☆

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激団リジョロ「アルケー//テロス」――西村博子
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     男による男の友情物語、と言ったらいいのかな? Jin作・演出の「アルケー//テロス」はまるでラグビーかサッカーの、ハイライト・シーンだけピックアップして放映していくTVニュースみたい。走る、殴る、蹴る、取っ組み合うなどなど激しい動き連続の舞台に、男の厚い友情と、友情が厚いからこそ起きてしまう、起こしてしまう殺人事件が描かれていた。

    大きく言うと舞台は、テロ事件が頻発する東京23区(第1部)と、それが飛び火していった大阪24区(第2部)から成っていた(大阪がなぜ1区多かったか? 聞き洩らした)。そして第1部、東京の場には、大阪生野に生まれ、同じ生野の小学校に通っている男の子4人(日本人と、やがて日本国籍を取得する在日韓国人と、在日2人)が、仲良く生駒山から大阪の街を眺めるシーンと、中学生だったか大きくなったその4人が、同じく生駒で、1人は検事になる、1人は検事だったか弁護士だったか、とにかく法律の方に進むと将来の夢を語り、残る二人はヤクザになるしかないと語り合うシーンとが挟まれていたし、大阪へと場が変わり、テロ捜査や尋問が展開されていったその第2部は、最後、ヤクザの、それもひそかに大親分になっていた男(金光仁三)が、検事に出世していた男(○○○○)を思い切り殴り蹴りした挙句、撃ち殺すところで舞台が終った。検事が、自分に想いを寄せてくれた、そしておそらく男の子たちみんなの憧れの的でもあったに違いない美しい在日の女性――その親から結婚を強く反対されていた――が去る年去る月の23日に自殺するのをみすみす見逃してしまったから、であった。

    以前見た「アルケー/テロス」初演。東京を、引いては日本を騒然とさせた大事件がみるみる生野へと集中していくのが何故かとても面白かったという記憶があるが、今度はなぜ大阪へ場が移り、事件が生野へと収斂していくか、その理由もなるほどと描かれていて、一層面白かった。警察をいきり立たせ、右往左往させたいくつもの爆破はいつでも、民間人に害が及ばないよう配慮されていたと、台詞だけだったけれど、あったのも良かった。ほんとに殺してやりたい敵は人でなく権力であり社会の構造だからだ。いっしょに見た人が出口で、在日は検事(刑事)にはなれないんだよと話しかけてきてくれた。

    (○○○○の職業。初日は確か、検事になりたいであったが、後日見た時は、刑事になりたいと夢を語り、実際刑事になっていた。筆者の聞き間違いか?)

    長く続いた現代口語演劇に飽きて、最近とみに身体表現に拠る演劇への探求が始まっているが、この「アルケー//テロス」の方法はそれとも全く違う。筋もあり台詞に意味もあり、フツーにやろうと思えばフツーにやれる芝居を、いかにフツーでないスピードと身体で立ち上げるか、それがいかに演劇の、もうひとつの魅力となるか、他に見ない挑戦と言えよう。今の日本にあるとも気づかなかった問題に目を注いだ着眼点の良さといい、次作への期待は大きい。

    見た限りでちょっとだけイチャモンつけると、あまりにも激しい動きのためほとんどの俳優が声を涸らしていて、言葉が聞き取りにくかったこと。第1部に挟まれた過去の2つのシーン。ここをあどけなかったり生意気だったり、成長後との落差でいかに面白く、いかに観るものが共感できるよう演ずるか、もっともっと演出の工夫が欲しかったこと。最後の殺人の場、せっかく4人の友情の物語だったのだから、3人だけでなく想い出シーンのもう一人、のちに国籍を日本に変える男もその場に居合わせ、その反応が知りたかったなあと思ったこと。だった。(2011.10.09所見)

     

    | 劇評 | 14:41 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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