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☆Alice's Review☆

  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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3.14ch「帰郷」__明成俊
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     最初にタイトルをみたときと舞台は全く違う作品であった。田舎の一戸建てのような雰囲気の舞台装置や娘が来るのを待っている方言の強いオヤジ。いろんな電気部品を飾った外界人、カエル族、人間ではなさそうなものが戦うクライマックス。小説家であるユキオをめぐる二人の女性(ヒロコとサオリ)と長野県か新潟県かその境界に立っている家。このように二つの鮮明な対比がこの作品のポイントであるだろう。
     娘の帰りを待っている田舎の家の雰囲気を見せることから劇は始まる。しかし、大雨ですれ違ったのかユキオとヒロコがヒロコの実家に訪ねてきたとき、引きこもりであるヒロコの妹しかいない。しかも、大雨で足も止まり、隣家の怪しいおばさんも訪れてきて訳わからない行動をする。さらに婚約者であるヒロコはユキオを置いてどこかに行ってしまい、行方不明となる。
     ユキオにとって嫌らしい雰囲気が続いていくうち、突然、かつて恋人だったサオリの幻影が見えてくる。そこで、劇は一変する。
     海の波の音が聞こえる静かで平和な家で、有名な小説家となったユキオがサオリと幸せな日々を過ごしており、大学の時の友人カップルが訪ねてきてパーティーをする。なのに、急にユキオの周りの人がまるでエラーがでた機械のように同じ言葉を繰り返し出す。
     ユキオは錯乱状態に陥り、頭痛を感じる。舞台は急に長野と新潟なのか二つに分かれ、また新たな幕が始まる。未来なのか現在の地球なのか、全く分からない空間に移り、カエル族と奇妙な姿をした連中がユキオを挟んで戦う。
     ユキオが見ている、聞いている全ての経験が真実から否定されている瞬間だった。
     この混乱から抜け出ささないうちにまた舞台は変わった気がするが、とにかく、再びヒロコの実家に戻る。雨は止みつつあって、家族やヒロコが無事に戻り、家は平穏な状況に戻る。そして、ヒロコの父はユキオにヒロコを頼むといい、劇は終わる。
     「帰郷」のストーリーを追いかけるのは非常に難しく、劇が終わってもはっきり理解できなかった。しかし、演劇というのは必ずしもストーリーを中心に理解しようとする必要はない。ストーリーは重要なものであるが、総合芸術はストーリーだけで成り立つものではないからである。それにしても劇の流れに少し変化を与えたりするとか、観客のための配慮が望ましかった。
     舞台の装置が若手の演出家の個性が伺われる想像力豊かな、特殊なものであったに間違いない。色んな機械部品をつけた外界人やテレビに映った主人公の顔、舞台が二つに分かれるなど今まで演劇では観られなかった舞台が展開した。これらの装置は空想的な色が濃い劇をより集中できるようにしてくれた。
     また、演じることが難しいジャンルであるにもかかわらず無理のない演技をみせた俳優も賞賛したい。演出家の個性がより強く現れる作品であるため、俳優のスタイルや個性を発揮する余地は狭かっただろう。それにもかかわらず、演出家の意図を無理なく示したと考えられる。しかし、無理がなかったということは平易であったとも言えるだろう。劇が終わってから考えたら印象に残る俳優はいなく、役のキャラクターを生かすという点では物足りない作業に終わった気がする。
     人の脳の一部と宇宙の遠くのどこかが繋がっているという発想は面白かった。そこから始まる展開も良かった。舞台の手法にも独自のスタイルがあったし、俳優の感情のバランスもとれた作品であった――が、観客に何を言いたかったかには疑問が浮かぶ。(2012.10.22)
    | 劇評 | 23:32 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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