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☆Alice's Review☆

  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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47ENGINE「幕末純情伝」 __明成俊
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     つかこうへいの作を観る度に思ったことだが、彼はきっと音楽が好きなのに違いない。俳優がいきなり歌ったり、重要な場面で音楽が流れたりするのはつかこうへい作品の特徴でもあるようだ。70~80年代に流行っていたと思われる悲しいメロディーを俳優が歌ったり踊ったりすると、観客はそのつど共感し、劇の流れのなかのポイントも把握でき、最後まで舞台に集中することができる。
    今回のヨナエンジンの新春公演・幕末純情伝も絶えず音楽が流れ俳優が歌い、作品の特徴を上手く生かした演出だと思った。
     今回の作品で最も良かったのは斬り合いシーンであろう。確かに斬り合いは多すぎ、悪くすればうんざりしたかも知れなかったのに、演出は各シーンのパフォーマンスをそれぞれ巧みに変化させて楽しませてくれた。沖田総司を演じた女優さん、幕末の剣客達を演じた俳優さんたちも全体の動線とともに細かいところまでよく表現し、呼吸も良く合っていて、エネルギーある作品を創り出したと評価できよう。
    他の小劇場での公演と比べ登場人物が多かったにもかかわらず、一人一人のキャラクターが鮮明で、歴史背景に知識のない私にとっても理解は容易だった。たとえば坂本龍馬。彼は革命に確信を持って行動する反面、自由でフラフラ、厚かましいところもみせるなど、歴史上の人物を演じたというより、新たなキャラクターを創り出したと言えると思う。
     しかし沖田総司の場合は少し違った。沖田総司が実存した人物とは知らなかったが、この作品では女性だったという設定。観ていくと、その彼女の坂本龍馬とのラブストーリーが劇の中心であるらしい。もしそれに違いなかったら、だが、その愛の物語がもっと劇の中心に置かれるべきではなかったかという疑問がずっと頭を離れなかった。二人の男の間で悩み、それを通じて自分は何者であるかといった、考察が欲しくなる。新撰組の人達は一人ずつの夢を説明するのに、いざ主人公である沖田総司の心境は? それが分かるような場は足りなかったと思われる。
     また、日本の演劇を観る度に感じることであるが、全体的に芝居が多いため台詞が最後までちゃんと伝わらないということが多い。俳優が役を演じるにおいて感情伝達が不足しているのだ。一人一人のキャラクターを見せるには良いけど、登場人物間のケミストリーの面では残念というしかない。芝居を少し省略して相互の動きや表情に代えて表現したら、より完成度のある作品になったのではないかと助言したい。
     劇は全体的に舞台を広く使い、活発で、俳優のエネルギーを充分に感じることができ、三時間という長い公演時間にもかかわらず最後まで集中力を持たせてくれた。観客にとって俳優の演技を楽しめる演出、それに応じた俳優さん達の演技、そしてつかこうへい独特の音楽、それがピッタリで楽しい時間であった。
     最後に。幕末純情伝はつかこうへいさんの作品の中で飛龍伝と構成が類似しているが、結局彼は幕末純情伝を通じて何を言いたかったのかについては謎であった。もし、つかこうへいが生きていてこの舞台を観ていたら……私はきっと彼に尋ねたにちがいない。
    | 劇評 | 20:17 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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