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☆Alice's Review☆

  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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ココロノキンセンアワー演劇部「カレー屋の女」__平 辰彦
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     2014年3月11日(火)新宿タイニイアリスでココロノキンセンアワー演劇部公演『カレー屋の女』(佃典彦作・茅根利安演出)を、この日が誕生日の妻・真澄と観た。これは、ソウル凱旋公演で東日本大震災を背景にした新演出で上演された。
     舞台中央には、カレーを煮る大きな釜が置かれ、上手に新聞紙で包まれたテーブルと椅子が置かれ、舞台前面には、新聞紙が、あっちこっちにまるで瓦礫のように散乱している。この舞台装置は、東日本大震災の津波のあとの風景を思わせるものであった。
     舞台の冒頭は、女たちが店の開店準備をしているところから始まる。その様子がコマ落としで行われ、その後、雨の降る中、舞台下手で墓堀りが死体を埋めるための穴を掘っている場面が...続く。この場面の二人の対話(尾川正也・早坂泰亮)は『ハムレット』の墓堀りの場を連想させた。
     続く場面でカレー屋の女主人タケ子(及川裕紀)と姉のマツ子(渡辺千穂)の対話が続く。そこへ妊娠しているタケ子の長女のハル子(平林里美)が登場する。
     この島の長老である婆様(茅根利安)は、ハル子のお腹の子が男の子かどうかを調べに来る。この島には、男がおらず、このハル子の子供には島全体の期待がかけられていた。生まれた子は、期待通り男の子だったが、臍の緒が首に巻きつけられ、死産で生まれた。
     そうした状況の中で森本浩平(佐藤広也)という男が、東京から女性同伴でカレー屋にやって来る。二人は不倫している男女の関係のようだ。
     やがて森本と一緒にやってきた女性は姿を消し、森本はこのカレー屋の女に拉致される。タケ子は、3女のフユ子(田中沙季)に森本の子を産ませようと考えていたが、なかなかうまく事が運ばない。そこへ次女のナツ子(遊木理央)が東京からやって来た。実は、このナツ子が、森本と同伴でやってきた女性であった。

     すべてを知った森本は、タケ子を抱き、子を孕ませただけでなく、マツ子、ハル子、ナツ子、フユ子も妊娠させ、役目を終え、カマキリのオスのように死んでゆく。
     その森本の肉体は、死後、カレー屋の女たちによって切り刻まれ、カレー屋の釜に入れられてぐずぐず煮込まれてゆく。
     この劇は、雨の降る中、森本の埋めらた墓に傘をさし、喪服を着た妊婦のカレー屋の女たちがみんなでお墓参りをするところで終わる。
     ひとりの男の<死>を通して新しい<命>が生まれるという劇的構造に私は、この劇が東日本大震災で死んだ人々の<魂の再生>の物語として演出されていると強く感じた。茅根利安は、名古屋出身の佃典彦の戯曲を東北人らしい視点でうまく演出していたと思う。
     森本浩平を演じた佐藤広也の体をはった演技とタケ子を演じた及川裕紀の情深い女の演技が強く印象に残った。
     私は、この舞台を観て3年の歳月が経過した東日本大震災に対して東京の観客と東北の観客では、その大震災への<想い>に対する<温度差>が大きいように感じた。10年間、秋田に単身赴任し、そこで生活していた私には、茅根演出が強く心の琴線に触れたが、東北の現状を知らない東京の観客にこの演出の意図がどこまで深く伝わったかは疑問である。舞台に散乱していた新聞が東京の新聞ではなく、すべて河北新報の新聞であると茅根さんからアフター・ミーティングでお聞きし、東北人の東北に対する強い<想い>とこだわりを感じた舞台だった。スプーン一杯の究極の愛の味を噛みしめることができた舞台だったと思う。
     東京公演のあとの寒河江と石巻の公演が盛況であることを祈念していまる。茅根さんのアフタートークも、きっと熱のこもった観客とのやりとりが繰り広げられることと思う。今後の公演が楽しみである。
    | 劇評 | 09:19 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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