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☆Alice's Review☆

  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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桜美林大学OPAL「tatsuyaー最愛なる者の側へ」______明 成俊
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    1217日、桜美林大学パフォーミングアーツ・レッスンズ<OPAL>vol.10tatsuya ー最愛なる者の側へ」 作・演出|鐘下辰男(桜美林大学准教授/演劇企画集団 THE・ガジラ主宰)を桜美林大学の徳望館小劇場で観た。


    これは1968年に永山連続殺人事件という実際に起きた事件をもとにした作品である。高度成長期に拡大されていった貧富の差、社会的格差―-そのため増大した貧困や日常化された家庭内あるいは職場での暴力など、様々な社会問題が永山則夫という実存人物を通じて映し出されている。

     

    永山則夫は北海道網走市で8人兄妹の7番目の子として生まれたという。父親は財産を賭博につぎ込み、母親は実家に逃げてしまい、兄には虐待を受けていた。東京に上京し集団就職してからも永山則夫は同僚からさえ殴られたり水をかけられたりしたのだそうである。彼はそうした差別や暴力、裏切りなどに遭いながら転々としていく。彼が米軍基地に侵入して盗んだ銃で4人を殺したのはその後のことだった。逮捕され、死刑が確定した。

    この作品は、このような永山則夫の人生をそのまま見せていったのだと言っていい。彼が受けた虐待や暴力を次々とリアルに描写していくことで彼の不遇な人生の痛みをそのまま観客に感じさせていったこの作品。役者たちの迫力のある演技により舞台にはつねに緊張感が張り詰め、その次から次へと観客が息を吸う暇もないような緊迫感は終始維持されていた。

     

    しかしそうした優れた手法の一方、すべてが現在形であり、似通った暴力シーンが何度も繰り返されていくように見えて、劇が、言い換えれば彼の生涯がどのように流れていったか、その全体を把握し難かったのは残念だった。また、各シーンのリズム、テンポが素早いのはよかったが似通っていて、クライマックスへの昂まりその爆発性は足りなかったと思う。

     

    最後に、過去の暴力、殺人事件を今を生きる我々に見せることで何を言いたいのか、何を伝えたかったのかが今だに疑問として残っていることを言い添えておきたい。(2018/12/27

    | 劇評 | 12:49 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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