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  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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東京サギまがい・ゲツメンチャクリク「お化け屋敷の中〜断髪したライオン達〜」__西村博子
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    「東京サギまがい」という名前がいい。なんか面白可笑しい口車、心かっさらってやるぞといった気概がみえる。よき市民よりもうちょっと危ない匂いのするほうに身を寄せようとする姿勢も小気味いい。その若手公演Vol.1のネーミングがゲツメンチャクリク。これまた“人類の偉大な第一歩”たらんと意気軒昂だった。そのせいか、彼らの♪初めの一歩は、見事に着地に成功した。

    客の入らないお化け屋敷。その館長柳原勇介(演出・主演の山田能龍)が、実弟のヤクザの、マスコミ取材を餌にした乗っ取り作戦にあわや閉鎖か?と追い詰められる。が、その危機を、雇ったばかりのムショ帰りに救われるというのが大筋。

     柳原は苦しいお化け屋敷を何とか経営していこうと、雇っているお化けたちを、口喧しく掃除を命じたりときにはびんたを食らわせたり、厳しくこき使う。が、彼がこれまで雇用してきたのはこの前科者だけでなく実はぜんぶ、万引きとか家出人とか、社会に容れられぬいわば屑人間ばかり。前科者が、弟の側から寝返って柳原のために体を張ったのも、そういう彼を知ったからだった――となると少々人情劇っぽい。さらに、柳原も実は大ヤクザの跡取り息子、お化け屋敷の争奪は実は兄弟争いだった――となると、ふつうなら頭を掻いて引き下がるところだ。ところが、それがそうならなかったのは、おそらく作・演出の、人間の屑たちへの絶対的な共感のせい、だったにちがいない。山田能龍はアリスインタビューで、副題の「断髪したライオン達」とは「たてがみがあってなんぼのライオンの、たてがみがないっていう意味」、「怖くない」(同)ライオンのことだと言っていた。本来なら草原を疾駆し四囲を震撼させて咆哮したはずが、今はたてがみを失ってしまった、これはそう、ライオンたちの物語であった。

    作の後藤隆征もまた同じアリス インタビューで、「今のお化け屋敷ってどこいってもみんな機械仕掛けじゃないですか。SFチックだったり照明効果もそれらしかったり。でも昔は、人間が実際にお化けに扮したりしてやっていた」と話していた。そうか、映像によるヴァーチャル体験かロボットか、せっかくのマンモスの骨でさえベルトに乗ってガラス越しにみるなんて! どうも愛知万博に行く気しなかったのは、そのせいだったか。ここにも現代社会まるごとの肯定ではない、喪ってしまった人間性への共感がある。

    欲いえばそのお化け屋敷。井戸と壁の裂け目とドアの蔭と壁の穴と、お化けの出入り口は精一杯設けられ、扮装もあれこれ工夫されてはいた。けれどもまだまだ私に言わせれば“想定内”。もしあのお化けたちが天井から降り背後から出現しタイニイアリスがお化け屋敷そのものと化し、ほんとに見るものを怖がらせ脅かし笑わせてくれたとしたら! 最先端技術より人間のほうがどんなに魅力的か、百万言費やすよりもっともっと雄弁に伝わってきたにちがいない。ふつうの社会じゃ落ちこぼれのライオンたちだって、お化け屋敷の中だったら思いきってたてがみ振り立てられた、はずである。

    とかなんとかエラソーに言いながら、ほんとのことを白状しよう。刑務所から出所したばかり、ハローワークを通じてお化け屋敷にやっとこさで就職できたヤクザの坂田栄二が、頗るつきのビショ−ネンだった。痩せた背中の一面に桜?と観音様?の刺青。それが最後にドスを抜き、馬乗りになって乗っ取り側の子分を刺し殺し、また刑務所に戻っていく。若いときの近藤弐吉(新宿梁山泊)に似ていようか。演技はぶきっちょ。声も喉に押しつけたようで聞きにくい。他の役ならきっと下手な役者と言われるにちがいない。にもかかわらず、言いたいことは言葉にならず伝わらず、つい伏目になってしまうといったmis-fit人間の、この魅力はどうだ。上手と華とはちがワイ。私は隣席の女の子たちといっしょに夢中になって拍手した。ひょっとして、作・演出の、人間の屑たちへのいとおしさが伝わってきたのはこの彼のお蔭だったかもしれない――と内心ひそかに疑いながら。    (2005.04.29)

     アリス インタビュー⇒〈山田能龍さん、後藤隆征さん〉構成:北嶋孝/鈴木麻奈美
    | 劇評 | 01:13 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
    東京サギまがいさんのお化け屋敷の中、再演やらないのですかね・・。
    去年観に行って、最高におもしろくて。
    観たいなぁ、また・・。」
    その後も何回か、本公演?観たんですが、私的には、若手公演が好き・・。
    | 愛 | 2006/07/12 5:30 PM |










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