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☆Alice's Review☆

  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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E.G.WORLD 掘屬澆砲いフツウの子〜突然変異は、未来の常識」 __西村博子
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     熊の霊を神のもとに帰す儀式というイヨマンテ。その生贄に捧げられて咆える小熊役の志保(根元千可子)がもし「みにくいフツウの子」だったとしても、サブタイトルの「突然変異は、未来の常識」とは何のことだろう? ひょっとしたら金堂修一(作・演出・制作)の、初め創ろうと思った構想とできあがった舞台とはズレが生じたかも?と思った。
    が、そんなことはともかく、わざとアイヌのは避けアボリジニとインド音楽に拠ったのだという素晴らしい音楽(山本康一)とともに、薄暗がりの中にアイヌの民俗衣装に身を包んだ少女たちが蠢きだし生贄の周囲を踊り刃物を突き刺し二本の棒で首を挟み……いったい何が始まるか興味津々身を乗り出した幕開きの熊祭りと、その号泣のような咆哮が、アイヌとシャモ(内地人)の間に生まれたいわばアイノコ少女の、どこに向けていいか分からぬ怒りだったと解る最後の熊祭りと。この二つのシーンが非常に印象的だった。底辺を忘れぬ、やっぱり金堂修一だと思った。最初の熊祭りが終るとそこは北海道の文化振興会館。客席から皇族和子の宮がしとやかに立ち上がって礼を言い、館員が大はしゃぎで記念撮影するのもなるほど日本であった。

      ストーリーらしいものはほとんどない。ただ小熊の少女と相手役を勤めるアイヌ女たちや館員、あるいは少女と母、少女と父の人間関係が次第にわかってくるというだけだ。母(出口恵子)は学問と出世のことしか考えないと夫を憎み、少女は父を愛し、死の床にあったその父は「アイ」コンとか「アイ」ロンとか、愛につながる言葉を呟きつづける……といった家族関係も、とくに少女が小熊であることとの必然はない。事実そうだったからそう書いたまでかも?――終わって作者にそっと聞いてみたら、あの父親は『知里真志保の生涯』(藤本英夫著/草風館)にもある知里その人。アイヌ人で初めて東大に入り、のち北海道大学の教授としてアイヌ語アイヌ文化を講じた学者。家庭を顧みぬ、ずいぶん自分勝手な人だったらしいよともつけ加えてくれた。そうかなるほど。それで芝居もわかったし、首を挟まれた少女の腹の底から迸り出たような声が、どこに向かって放たれたのか解りにくかったわけも解ったように思った。父か母か日本にか、それとも客席にいる私たちにか自分自身にか、きっと少女にもわからなかったにちがいない。行方知れぬ怨恨であった。

     一つ一つの言葉に軽重なし。ぜんぶ体の内部に直結させ渾身の力を篭めて発するE.G.WORLD独特の重い台詞廻しには、賛否もあろう。が、新人たちの声はびっくりするほどよくとおった。♪知床の岬にはまなすの咲くころ、思い出しておくれ〜♪丘にのぼれば、はるかクナシリに白夜は明ける」という歌はこれから、今までとは全くちがった意味で聞こえてくるにちがいない。    (2005.05.07)
    | 劇評 | 03:59 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
    西村様、的確な劇評をありがとうございました。
    なるほど、と出演者のあたしも気づかなかった「阿部良」評、
    面白かったです。
    ほんとはもっとシュールな台本だったのですが、やはり新劇でしたかしらん?
    これからも宜しくお願いします。西村さんのレビューも楽しみに読ませて頂きます。
    御観劇ありがとうございました。
    | 桜会 制作 | 2005/05/20 2:29 AM |










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