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☆Alice's Review☆

  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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鳳劇団「昭和元禄桃尻娘」 __西村博子
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    タイトル見たとき思わずカナンワーと首をすくめた。電車の中でおっちゃんたちがよく読んでるスポーツ新聞、そのピンク見出しと同じセンスだからだ。実際、鳳劇団の一本柱かぢゅよと康実紗(劇団アランサムセ)のピチピチ娘、二人だけの1時間半。たとえば踊りに股を開いて♪モッコリ、モッコリ」 両手をハスに上下する手振りがあったり、たとえば○○タマとあけすけな単語が飛び出したり。女優さんたちよう演るわ、よう演らせるわとカンシンする個所も少なくない。游劇社から今回の鳳劇団旗揚げへ。鳳いく太は、怒れる息子世代から現実受け入れのオジン世代へ確実に変貌した、と私は感じた。成長、ではない。受け入れざるをえないから受け入れたのだ。

     游劇社から鳳劇団へ。実際彼はいろいろなものを手に入れた。あるいは引き受けた。あるいは喪くした。二人をつなぐ紙コップの耳電話の糸の赤さがそうだし、二人が少年になったり少女になったりして交互に演ずる人形振りがそうだ。意味や前後のつながりより見た目を、あるいは役者の挑戦を優先させるなど前には決して見られないことだった。以前は社会が不条理だからお茶の間に不条理が出現した。が、今はかぢゅよを生かすために不条理を惧れない。かぢゅよもまた、鳳作品を生かすためにオリンピックのアベベや白馬童子の山城新吾その他その他、判っても判らなくても全身全霊をその場に捧げる。こんな女優を持ったのも、ちょみ以来久しぶりではないだろうか。ちょみにはまだ役に従わせるところがあったが、今度は反対。かぢゅよに作品を従わせた。劇中流れてくる数々の懐かしのメロディのうちに、♪私は今まで生きてきました〜 ♪私はいま思っています ♪あしたからもこうして生きてゆくだろうと〜」という唄がひときわ鮮明に聞こえてきた。かぢゅよと康が赤提灯のサラリーマンに扮してクダを巻くところだったか、「学士、学士と言うなッ」というセリフもあった。鳳いく太をちょっぴりでも知る想像逞し人間なら、あの難しい顔した彼が、そんなこと考えてるんだあとクスクス笑ってしまうにちがいない。

    游劇社の時代すでに鳳が浅草か新世界か、小芝居好きでずいぶん見歩いているという噂は聞いていた。そのせいか、こんどの「桃尻娘」はすっかり大衆演劇仕立て。いちおう鄙びた温泉宿に来た女客と女将が、ひょっとしたら1945年3月10日の東京大空襲に生き別れになった双子の姉妹か?まさか!?という設定はされており、ときどき通じぬ赤い紐の耳電話や耳鳴りがするという右耳を交替に押さえて、二人の相合うことのない関係が示されてしんみりとはする。が、この生き別れ? タイトルに「昭和」とあるとおり、唄や出てくる固有名詞もどうやらせいぜい1970年あたりまで。全体を貫く懐かしさの感触のうちに「平成」の横田めぐみさんたちまで連想が及ばないように禁欲されているので、こちらも、ああそういうこともあったかも知れないなあと昔を想いながら、ただ二人の、衣装とっかえ引っかえ大車輪の芸を楽しめばいい。

    この「桃尻娘」、昨年のプサン行の勢い駆って今年またヤンサン市の演劇祭に招かれていくと聞いた。タイニイアリスの客席ではずいぶん笑い声が興ったから、(もうちょっと幕開きなどの不要なマを切り詰め、もうちょっとだけ芸を磨けば)きっと成功するにちがいない。台詞は幸い康実紗がいるから心配ないし。
    游劇社から鳳劇団へ。これがたとえ後退戦であろうともし♪あしたからもこうして生きてゆく」ならば、真の闘いはここから始まらなければならない。(2005.02.16)

    | 劇評 | 16:42 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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