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  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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南船北馬一団「にんげんかんたん」 __青木理恵
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    幻想に逃避する、その意味を考える。

    あなたはどこから逃げたいの?

    ひろ子という名の女性と、その姉が共に歩いている。知らない街なのか、知っている街なのか。それは明かされるわけではなく、ただ二人がいる街、である。ある時はパン屋、またある時は喫茶店、そして酒屋と街中を流れる。乗り損ねてしまったバスの待ち時間を埋めるように繋ぎ合わせられる時間は、手からするすると零れ落ちていくような、ある種の無意味さを含む。

    そしていつの間にか姉は妹の前からいなくなる。慌てて追いかけていく妹。街中を探し回り、やっと見つけ出した姉から発せられたのは、「私はあなたよ」という言葉だった。姉は現実から逃げまどうひろ子自身の姿だったのである。

    時の止まった街から、動き出した今へ。逃げ続けていたかった自分を見つけ、前へ進めと。ひろ子が夢から覚めて、この作品は終わる。

    作品を通して伝えたい想いが、明白であればあるほど、「余剰」の扱い方には細心の注意が必要だ。正直この作品には、無駄が多いという印象が残った。繰り返される機械的な肉体の動きや、前に進まない台詞の存在価値が作品に対して、あまりにも薄かったのである。

    この作品は、物語を突き詰めれば多分、一時間もかからずに終わってしまう。ともすれば、ありがちと言われてしまう内容だ。きついことを言えば、高校演劇的な青いテーマなのだ。自分自身が高校演劇の経験者なので、「見覚えがあるな・・・」という実感が強くある。

    しかし、それをあえて表現し、作品として二時間弱の大きさへと膨らませていくためには、「自己と向き合うことの難しさ」という作品自信の持つテーマと、作者は嫌というほど向き合わなければならない。でなければテーマは上滑りし、観客の心の中に「可愛らしさすら覚える若さ」しか残らなくなってしまう。

    また、作品の中に「無意味」な瞬間を含むのであれば、「無意味」であることの「意味」を追求しなければならない。そうでなければ、「無意味」な部分はただの時間稼ぎにしか見えないのだ。

    役者たちは良かった。それぞれの声が印象的な上に、「間」が作りこまれていて、流れはよくできていた。完成度が低いわけではないのだ。

    なので問題は、やはり作品自体の描き方ということになる。

    この南船北馬一団という劇団は、今回の「にんげんかんたん」から新しい表現を模索し始めている、と伺った。これまでの公演内容と今回は、随分変化しているそうだ。ならばぜひ、これまでの作品も見たいと思った。その上で改めて今回の作品を見つめ直すと、私の中にまた異なる意見が生まれてくるかもしれない。 十分に可能性は秘めている劇団なので、今後の発展を願っている。  (2月5日)

    | 劇評 | 06:49 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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