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☆Alice's Review☆

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劇団印象−indian elephant−「青鬼」__森 薫
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    たまには食われるほうの身にもなってみろ――今回の「青鬼」、鈴木厚人(作・演出)の発想はこのへんにあったのでは?と思われた。題名の青鬼、野田秀樹の「赤鬼」が結局は自分の分身を喰っちまう話に対して青いイルカさんが最後に人間に、それも親しい人に喰われてしまう話だったから、である。グルメクレージーのあふれかえる現代、鈴木厚人の、立場を代えてモノゴトを見ようとする相対的な目は得難い。赤鬼の除け者に対してこの青鬼が人間の友人、真反対に設定してあったのも面白い。

    劇中、随所に笑いが起こったし、終わったあとの拍手は好感度いっぱいだったし、たまたまいっしょに見た辛口劇評家たちに聞いたかぎりでも、退屈しなかった、まあ面白かったと悪くない反応だった。が、その人たちが帰りに酢豚を平気でおいしそうに食べていたのが私は気に入らなかった。せめてこの芝居を見たあとぐらい、マーボー豆腐か、ベジタベル(劇中のギャグ)を注文しようという気にさせるくらいの力がなきゃ、と思った。

    なぜだったのだろう? アラスカに行ってショッピングしまくり、あれこれ食べ歩いたあとで食べてみたイルカがおいしくて、帰国後もひそかにイルカを手に入れ、ペットとして飼いながら食べ続けた夫妻(加藤慎吾、片方良子)が中心。とくに夫の、イルカといっしょに暮らすうちに自分も段々イルカになってしまい、人間に戻るために人間を食べようとして果たせず、結局イルカを食べることにしてしまうまでに焦点が当たっていたから、ではなかったか?と思われた。愛するペットでさえ喰ってしまうような人間、と言葉でいえばたしかに、現代のグルメクレージーを撃つ、はず。人間のヒューマニズムは疑われなければならない。だが私たちは、愛するペットを胸に抱きかかえ自分もペット気分でいながら平気でジンジャーロースや唐揚げや刺身を食べているのだ。そこに現代の、私たちの、問題がある。夫の激動にほんとの共感はなかなか難しい。

    もし劇中のペットが青いイルカでなく豚さんだったら?牛さんだったら?……と想像してみた。だがそれは「赤鬼」を意識してのこの作品ではダメ。ならば、あの白い素敵な三方の壁――人間のおしゃれなマンションであると同時に、生き物が飼われる無機質な場を想わせる――でまずイルカが自由奔放に泳ぎまわったり、夫妻の合図で(TVで見た)恥ずかしいいーっをしたり腹筋やったり、そして次第に二人の言葉を解し人間ぽくなっていって、ついには夫に代わって出勤する……もし冒頭からイルカが主として描かれていったとしたら?と想像が飛んだ。「そして」以下は実際、舞台にあったことなのだから、全くできない相談ではない、のでは???

    たが私のこの想像は、イルカが最初から人語を解し二本足で歩いて舞台に出てきていたから、採用不可。イルカの、夫に代わっての出勤も、両手が青く変色した夫の驚きが主。その従としてしか描かれていなかったので、観ている人間の、イルカへの同感、感情移入は難しかった。もし作・演出が喰うほうでなくもっともっと喰われるほうの身になってくれていたら……と私には惜しかった。

    勝手な想像に走りすぎたようだ。もういちど作品に即して考えてみなくちゃ、である。――だが、夫が青いイルカに替わっていった理由。それはセリフのなかで、(妻の方はひそかにイルカを食べ続けていたのに)夫が食べるのを止したからだと言っていた。これは……? 逆では???と思った。またイルカになってしまったという夫。見ればたしかに両手が青い、長い爪に変わっていた。いかにも鈴木厚人で素敵だ。だが、と恐縮ながらもういっぺん言おう。それなら手だけでなく、全身の身体もみるみるイルカに、青鬼に、なっていって欲しかったなあ、と。不可能が実現する、それを目撃できるところが芝居の楽しみの、大きな一つだからだ。(となるとこれは、青鬼の、人間に逆襲しようとして果たさず、共食いしてしまうという話になった、のかな?)

    たまには食われるほうの身にもなってみなくちゃ――いちおう豊かで平和なこの日本、これは「食」に関してだけでなくあらゆることに大切な想像力にちがいない。録画の巻き戻しふうに過去に戻ったり、いきなり人が入ってくることで場が変わったり、実際の水のゆらぎを白い壁に映したり、演劇というものの手法に対しても十二分に意識的なこの劇団印象。可能性いっぱいだからこそ、ついつい余計な想像も走った。終演後の挨拶に、日テレの取材があってこの28日に舞台放映と聞いた。この成長株、次回も断然見るゾウ。(11/11 &11/13)

    | 劇評 | 11:26 | comments(0) | trackbacks(3) | - | - |









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