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☆Alice's Review☆

  タイニイアリスで上演された作品の劇評たち ―Crazy Tea Party―
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MAR「個人重力」/ドンニョク「バリデギ」__
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    ▽韓国からのダンスと芝居―ねごとのつづき百88―▽

     いつのまにか東京は国際的な演劇都市になっているらしい。新宿二丁目にある「タイニイアリス」という小劇場で行われている「アリス・フェスティバル2008」には東京・大阪ばかりではなく、韓国のソウル・釜山(プサン)・春川(チュンチョン)、台湾の台北からも小劇団が参加をしている。

     シービーシー・メソッドでアルバイトをしている李知映(イ・ジヨン)さんから、思いがけなく招待券をいただいて、釜山から訪日したふたつのグループのパフォーマンスを拝見する次第となった。李さんも釜山のご出身で、ご主人とあちらで劇団活動をなさっていたらしい。

     そこで九月二十八日、のこのこと懐かしの新宿二丁目まで出かけていく。

     韓国の伝統芸能には、こっちは少しばかり詳しいつもり。ナムサダンという旅芸人グループの魅力的なパフォーマンスや、シュールでグロテスクな仮面を使うおもしろい仮面劇にもなんどか楽しませてもらっている。「ごぜさのはこや」としては、パンソリという唄語りの隠れたファンのひとりだといっていい。今回のパフォーマンスがそういう韓国の伝統に根ざしている新しい創造だったのは、嬉しい驚きだった。

     劇場の入り口で李さんと会って、ご主人に紹介される。ゆっくりお話を伺いたいがそうはいかない。なにしろこんどの公演は韓国語での上演で、日本語の字幕はつかないという。それでもわかってもらえる「表現」に李さんたちは自信がおありのようだが、やはりプログラムを読んで勉強はしておかなくっちゃならない。

     最初はMARというグループによるダンスで『Private Gravity──個人重力』。カン・ヒジョンさんという女性舞踊家の振り付けによる男女ふたりの踊りで、これには少なからずびっくりさせられた。 日本でダンスというと、創作舞踊でもどこか西欧の匂いがつきまとうのだが、まったくそれがない。

     ふたりの踊り手は非常に訓練された動きをする振付のカンさんはアメリカの大学に留学したとプログラムに出ていたから、コンテンポラリー・ダンスの影響はあるのかもしれない。けれども見ているうちに、そのムーブメントの基本は韓国独自の舞踊の動きにあるのに気がついた。長い袖を翻して三拍子で跳ねるようにどこまでも踊り続けるあの仮面劇の踊りを感じさせるオリジナリティ。これはまったく独創的な新しい韓国のダンスだと思った。なるほど、韓国の独自の踊りの感性は個人的な重力感覚にあったのか。それが解き放たれたとき、ムーブメントは果てしなく続いていく。

     続いて釜山演劇研究所『ドンニョク』による『バリデギ』という芝居で、これが李さんの関わっている劇団。作・演出のシム・ムンソプさんがプログラムに書いていた解説によると、 「韓国の神話『バリデギ』は全国に渡って言い伝えられてきたもの。父母への孝行をもとに、非常に長い旅と冒険を通して『自分自身』と『世界』を発見してゆく英雄神話です。韓国の伝統的な演戯様式を採用し、喜劇と悲劇の共存のうちに『興趣』と『恨』という韓国人の情緒を表現してみました」

     出演者は五人。みんな達者で発声がいい。カチッとした気持ちのいい声が届いてくる。そこに観客に訴えようとする情熱が溢れる。やはり芝居の声はこうでなくっちゃ。

     伝統楽器の代わりにアコーディオン、大小のドラム、トランペット、ギターを演奏しながらのオープニング。これから始まるのは「この世のものでもない、あの世のものでもないお話」と歌う。

     仮面をつけた王と王妃登場、ふたりは結婚して次々に子どもをもうけるがみんな女の子。七人目も女の子だったので、父は怒って母に捨ててこいと命じる。あらがえずに母は山路をさまよって赤ん坊を捨てる。捨てられた赤ん坊は妖精たちに拾われて育っていく。そのうち病気になった父は娘たちにあの世に行って「命の水」をとってきてくれと頼むが、だれひとりいうことを聞いてくれない。捨てられた女の子だけがこのことを知って、あの世に行くことを願う。精霊たちがお前は捨てられたのじゃないかとさとすが、娘はひたすら願い続ける。あの世に向かう旅の途中で、娘に五色の布が投げかけられる。これは苦難のシンボルらしい。あの世で彼女は死んだ父母と出会う。娘が五色の布を両親にかけると両親は生き返り、娘とこの世に帰ってくる。そして娘は晴れて自分の名を得る。その名は「バリデギ」。そしてふたたび楽器の演奏と歌によるエンディング。

     舞台はひとつの様式を伴って進行する。そこがなかなかおもしろい。その演技は韓国のひとたちの「情念」にこだわる好みに彩られている。赤ん坊や娘たちを人形にしたり、パンソリで使うような大きな扇を手にしたりするあたりは、関矢幸雄さんの演出による児童劇と共通の感性。仮面もおもしろいが、真ん中に穴を開けて顔を出しているのは疑問。表情が欲しかったのかもしれないが、仮面の力が生きてこない。

     それに、なんといっても演劇は「言葉を使う芸術」なので、韓国語が分からないという「言葉の壁」は大きい。捨てられたのに、なお親を慕ってやまない激しい情念を、韓国では「恨(ハン)」というらしい。そんな情念は伝わっても、その内容がつかまえられずにもどかしい思いをする。日本の観客にもわからせようと、ときどき日本語のセリフを交えたりするのも流れをさまたげる。演技も説明的になってしまうのが惜しまれた。だから、この芝居の世界に入りこむところまで行けなかったのは残念だった。やはり、次の来日公演では「字幕」をお考えいただきたい。

     それにしても「伝統」に根ざして芝居を創ろうという「思想」を、この劇団がしっかりと持っているのには感心した。 「伝統に根ざさない創造はない」  と、岡本太郎もいっている。日本の多くの若い劇団が「自己表現」あたりでうろうろしてるのとは大違いで、この釜山の劇団はずっと進んでいる。この韓国からの新しい風に大きな拍手を送った。

    | 劇評 | 03:49 | comments(1) | trackbacks(0) | - | - |
    はじめまして。
    突然のメールで失礼します。ナレーター事務所を運営している高野と申します。

    李 知映さんと連絡を取りたいのですが、彼女に上記アドレス及び、URLをお知らせ願いないでしょうか。

    突然で大変申し訳ありませんが、ナレーションの引き合いがあります。是非彼女と連絡をさせていただきたいので、どうぞよろしくお願いいたします。
    高野
    | 高野裕平 | 2009/07/07 7:39 PM |










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